差別門

浄土三部経のうち、大経は他力念仏往生、観経は諸行往生、小経は自力念仏往生をそれぞれ説くものであるという見方。(→一致門)

差別門と一致門は矛盾しない。なぜならば、大経は直接他力念仏を説くが、観経と小経には穏顕(隠された真意と表に顕された内容)があり、観経は顕に諸行、小経は顕に自力念仏、二経ともに穏に他力念仏を説くからである。

表に顕れた意味を取り出して三願(四十八願のうち第十八願の他力念仏往生、第十九願の諸行往生、第二十願の自力念仏往生)に配当するのが差別門である。

そして、三経の真意が一致して他力念仏を称え勧めていることをもって、すべて第十八願に配当するのが一致門である。

単に二種類の分類法があるということであり、対立する考え方ではない。

親鸞聖人は、「教行信証」「化身土巻」に於いて、「果遂の誓(第二十願)、まことに由あるかな」と讃嘆しているが、これは十九願二十願の真意がともに十八願にあるからである。あえて分類すれば三願だが、三願ともに十八願に帰結することをもって差別門と一致門は合一する。

生駄 真

2012/10/26 掲載